エペとフルーレの違いから、カウンターアタックを考える。

エペでは相手の攻撃の初期動作(プレパラシオン)を素早く察知して、カウンターアタックで先手を取ることが戦い方の定石です。つまりカウンターを狙うことが大変重要です。
エペとフルーレの大きな違いは攻撃における優先権の有無ですが、本質的な違いはカウンターアタックの扱い方の違いです。ルール上、フルーレではカウンターは他の攻撃方法に劣後するという点であり、つまりカウンターは原則禁止扱いです。その上で、例外として、他の攻撃が失敗した場合にのみ、相対するカウンターの得点となります。
これには歴史的な経緯があります。フルーレは剣術の練習がスポーツに発展したもので、金網のマスクなどが考案され、安全性が考慮されて普及しました。ファントなどのアタック(突き)の形や相手の剣を自分の剣で防御するパレの形、リポスト(突き返し)などの技術練習において、カウンターで応じるとこれらの練習の妨げになるため、安心して練習ができ、秩序良く剣のやり取りができるようにカウンターアタックは禁止されたのです。その後、電気審判器が導入され、競技志向が高まるとともに一定条件でカウンターの得点が認められるようになりました。一方、エペは本来の決闘のルールを前提とする修行から発展したものです。電気審判器導入以前は、剣の先端に三つ又の針を装着してそれを相手の防具に引っ掛けて突きを判定したと言われています。なかなかハードな要素が含まれていますね。諸説あると思います。
現在では、フルーレにおいてもカウンターによる得点の割合は高くなっています。このような経緯を踏まえてカウンターの威力を理解し、カウンターの練習を始めましょう。
つづく